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[03.詩歌]もじり百人一首

百人一首を弄んだ挙句の寄せ集め。

2013/12/14

仕事っぽい単語を入れただけの五首

「ログ見れば、千々にものこそかなしけれ我が身ひとつのバグにはあらねど」
「めぐり逢ひて見しやそれとも分かぬ間に 雲隠れにし前の担当」
「朝ぼらけ有明の月と見るまでに 眠るフロアにともるモニター」
「いにしへの手書き書類をデジタル化 今日は朝からディスク障害」
「由良の門を渡る舟人かぢを絶え ゆくへも知らぬ定例会議」


詠まれる状況だけ変えた三首

「見せばやな雄島の海人の袖だにも 濡れにぞ濡れし色は変はらず」
色の変わった洗濯物を手にして詠う歌

「逢ひ見てののちの心にくらぶれば 昔はものを思はざりけり」
買ったばかりのものが、別の店で半値になっているのを見つけた時の歌

「明けぬれば暮るるものとは知りながら なほ恨めしき朝ぼらけかな」
出勤のために、いやいや起きた朝の歌


その他一首
「君がため 春の野に出て若菜摘む 我が衣手は泥にまみれつ」
小さな娘さんを抱えた某さんへ


2013/12/17

「あしびきの山鳥の尾のしだり尾の ながながし夜をひとりかもね」
クリスマスを一人で過ごす可能性が濃厚になった人が諦念とともに詠める
※元の歌から末尾1文字を削る

「せわしさに宿を立ち出でてながむれば いづくも同じ暮れの夕方」
師走の歌
※初句と5句を変える

「奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の 声聞く時ぞ秋は愛しき」
猟友会メンバーの詠める
※「かなしき」の漢字表記を「悲」から「愛」に変更。楽しい狩猟シーズン。

「難波潟短き蘆のふしの間も 逢はでこの世を過ぐしてよとや」
スマホ中毒患者の詠める
※変更なし。少しの間も離れられない。

「やすらはで寝なましものをさ夜更けて かたぶくまでの月を見しかな」
眠らない子供を抱える親の詠める
※変更なし。2句までと4句以降で主語が変わる。

「滝の音は絶えて久しくなりぬれど 名こそ流れてなほ聞こえけれ」
不用意な投稿で炎上を起こした人が後日詠める
※変更なし。あるいは、
「アカウントは閉じて久しくなりぬれど 拡散止まずなおリツイート」

「春杉で 夏木に毛虫、シロヒトリ 衣食う紙魚 雨具にカエル」
花粉と虫に年中悩まされている人の詠める
※全体を変更。音の感触は残しつつ、全く違う方向へ。


2015/1/21

「夏の夜はまだ酔いながらあけぬるを 部屋のいずこに鍵やどるらむ」
(夏の夜は短くて、酔いがさめる前に夜が明けてしまう。
 さて、昨晩の記憶がないのだが、一体どこに鍵を置いただろう)

2015/1/22

「春雨のつゆもまだ干ぬマグの中 切り餅あぶり、追加投入」
(スープ春雨だけでは足りぬ)

「むらさきを注いで回せば 巻き物は消え 玉子、ガリ、穴子も食えず」
(小皿にしょうゆをさしているうちに、しょうゆ無しで食べられるネタがすべて消失。)

2015/1/23

「脳内の夢ばかりなる愛人リスト 煙から立つ火の消しにくさ」

本歌は周防内侍。
75日の喩えどおり、数ヶ月経ったら何の話かわからなくなる程度の話題ではあります。

2015/1/24

「嘆きつつひとりぬる夜のあくるまはいかに久しき元カノ走る」
(結局、よりを戻しました)

右大将道綱母に捧ぐ。
元歌を読んで、
「そういう鬱陶しいことを言ってるから、他の女に走られるんじゃ?」
と思った。
最後の7文字を入れ替えただけで、夫側の歌になる。

2015/1/25

「股引や黒き細身の腰紐もなほあまりある昔なりけり」

昔は入ったんです。今はゴムだけど。裏も付けるようになったけど。
祭りの黒股引の話のつもり。

2015/1/27

「天つ風 雲のかよひ路 吹きとじよ をとめの姿 しばしとどめむ」

「帰りの飛行機なんて、欠航になればいいのに」と、遠距離恋愛の恋人たち。
あるいは、
「うちの子、もうしばらくそっちにいてくれないかしら。片付けがまだ済んでないんだけど」と、お母さま。

2015/1/28

「ほととぎす鳴きつる方をながむれば 一番線に電車が来ます」

2015/2/1

「いま来むと言ひしばかりに中山で有り金のつきを待ちいでつるかな」

かつて、植木等は歌った。
「馬で金儲けした奴ぁないよ」
と。
そして続けた。
「わかっちゃいるけどやめられない」
と。

中山競馬場にて。
「今度こそ来る」と待っているツキは多分来ないし、
その前に有り金が尽きる確率のほうが高い。

2015/2/6

「いまはただ思い絶えなむはばかりと言う由もなくサービス・エリア」

便意って、波がありませんか?
いまさら行きたくないとは言えないけど、しかし、長い列だな・・・。

2015/3/10

「ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく洟の出るらむ」
春の晴れた日には、花粉も飛ぶ。

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