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[03.詩歌]句稿・試行 2015年9月

新しい順に並んでいます。

秋高しカラス螺旋に上昇す
薄二本自転車にのせ月見前
薄探し自転車を漕ぐ月見の午後
薄の穂指の先より滑り落つ
風激し地下の闇より電車来る
停車して風治まりぬ地下ホーム
名月や影のふち皆研ぎ上げて
皮を脱ぎ柚子あやふやにへこみたり
隣り合う間のやや遠き休暇明け
白湯に溶け鮭の皮染む茶漬かな
弁当の温みうつして青蜜柑
照葉笑い風のありかを知らせけり
野分立つ地平へ運ばん大荷物
新米を研ぐ左手の指の先
折り目から出奔枝豆死後二日
枝豆が出奔かばんに潜伏中
コスモスに頭小突かれ詮索され
こおろぎの声敷きつめて路地の夜
雨あがる風船かずら灯り初む
子燕を数えて待つや床屋客
台風禍傘の骨喰うゴミ箱連
台風一過傘の骨上げ芝養生
小春日や猫立ち尽くす古家跡
古家消え猫立ち尽くす小春かな
死に化粧濃しプリザーブドフラワー
秋蝉やホームに誰かの靴の底
秋蝉や線路に落とす靴の底
ひらめ似の石鹸つかむ夜半の風呂
まねてみて指がつるなり仏手柑
皮を削ぎ南瓜切子に仕立ており
死ぬ蝉をバイブに呼ぶのだれですか

以上、2015年9月

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