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[02.訪問記録] 20060108 江戸博

常設展を見る。
常設展示室で「夢大からくり」展、「福をよぶお正月」展、「葛飾北斎−冨嶽三十六景」展を開催中。
およそ2年ぶりぐらいに入ったが、かなり混んでいる。
団体客やら親子連れやらが大量に流入したらしい。
 
「夢大からくり」展は目玉は修復が完了したばかりの文字書き人形だったが、人が多かったので割愛。
座敷からくりのコーナーにあった「小鳥の飼作り」に脱力する。
なんという地味なからくりだ。
周りは猩々だの春駒だの笛吹きだのを華々しくやってる中で、
いい若いもんが裃着て正座して、すりこ木握って「小鳥の飼作り」。
動かないのでどういうからくりなのかわからないが、多分、すりこ木で青年がえさを作って、隣の鳥かごの小鳥が鳴くといったものなんだろう。
このネタを思いついて、実作する心意気が私は大好きだ。
 
「福をよぶお正月」展、「葛飾北斎−冨嶽三十六景」展も混んでいたので、ざっと見るだけにする。
「福をよぶ〜」では、蝙蝠の七福神の絵を見つける。
蝙蝠の蝠は福に通じるので、幸運のしるしによく使われる。
『頓画 百福寿』というこの絵巻はいろいろな物を蝙蝠で描いているそうだ。
冒頭作品がこの七福神で、力の抜けた顔立ちがかわいらしい。
 
常設展示部分では、『久留米藩士江戸勤番長屋絵巻』がツボにはまった。
元・久留米藩士が明治に入ってから往時を懐かしんで作った絵巻で、当時の江戸詰め藩士の生活が赤裸々に書かれている。
赤裸々である。
と、いうか、赤裸々過ぎないか、これ。
 
文章を書いたのは元・久留米藩士の戸田熊次郎、絵を描いたのはその同僚、狩野素川で、どちらも絵巻の中に登場する。
冒頭、勤番長屋の外観の横に書かれた文章にまず笑う。
この長屋、「田楽」と呼ばれていたそうだ。
と言うのも、東西に面していて、朝晩の日差しがきついから。
なんだか、藩士と言うよりは貧乏学生のようだ。
で、長屋内部の生活に入るわけだが、どうやら奴ら、相当退屈だったらしい。
庭を造ってみたり句会を開いてみたりするのだが、いかにも暇つぶしな感じが全編にただよっている。
隣に女性客が来たといえば2階からのぞき、茶会の真似事をしてはみるが、よくわからないもの同士なので会話が妙に頓珍漢になる。
江戸詰め延長が決定した夜の酒盛りなんぞ、どこの大学生かという飲み方、食い方、つぶれ方をする。
 
「冷し麦 亭主裸になりにけり」
夕涼みの横に書かれたこの一句だけで、だめっぷりが如実に伝わってきて、あやうく生きる気力がわきそうになってしまった。

Date : 2007/08/30(Thu) PM 01:51

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